アクセルとブレーキ

車校に通い始めて6日目になる。

車校の帰り道はいつも新しく交通法規をおぼえたばかりだから、急に世界の情報量が増える。みんなわたしの知らない世界で生きてたんじゃん、ずるい!と思う。仲間入りできてうれしくて、スクールバスの前方の窓からずっと交通を見ている。

 

運転しちゃいけない人間だと思ってたけど最初から結構褒められていて、運転うまいんじゃない?とか調子に乗っている。

4回目の技能教習のとき教官に「もしかして、お兄ちゃんとかいる?」と訊かれた。妹がいて長女ですと答えると、「この時点でこんなにアクセル踏む子あんまりいないから」とどうやら長子らしからぬ運転だったみたいで、自分の意外な一面に可笑しくなった。

このあいだ職場の先輩に人間関係の相談をしたら、自分に要らぬブレーキをかけすぎだと言われ「アクセルを踏む練習をしろ!」とアドバイスされたばかりだ。

人とのあいだに在るときの身体は固まってしまったりやわらかすぎたり、状態が不安定で扱いづらい。身一つでいるより車と一体化してしまったほうがうまく生きれるかもしれないとか思った。

 

**********************************************************************************

 

身体より車のほうが操れる車のままで生きてゆこうか

世界の約束は隠しコマンドでほんとの虹はまんまるだった(木下龍也『天才による凡人のための短歌教室』よりインスパイア)

#tanka